18209人が本棚に入れています
本棚に追加
/765ページ
はぁ、と溜め息を一つ。
何て言うか、こう、こんなときに妙なことに気づいてもやもやする。
もう少し自分のことに時間が取れるようなときにこういうことに気づきたかった。
「ちょっと優聞いてんの」
「あーあー聞こえなーい」
オルトに残っていたログから地図情報を読み込み現在地を確認する。
間もなく渡り廊下だ。
神崎はどうしただろうか?
「……ん?」
何か音が聞こえるような……
立ち止まって耳を澄ませてみるも何も聞こえない。
気のせいか?
「急ぐぞ。
嫌な予感がする」
唐突な直感。
胸騒ぎに歩調を速め、ガラス張りになった渡り廊下を進む。
「え?いや、速い、速いよ?
急ぎたいのも分かるけどこれがベストペー……優ってば!」
「ついてこれないなら後から来い!」
半駆け足だったのが、気づけば走り出していた。
ペースがどうとか、残りの体力がどうとかじゃないんだ。
一刻も早く辿り着きたい。
その結果何もなければそれでいい。
最初のコメントを投稿しよう!