481人が本棚に入れています
本棚に追加
いくつもの年月を越えて今、2人の想いが一つに重なるときがきた。
静まる校舎。
2人だけの世界。
『なぁ?隠さないで言ってくれよ?』
「…………」
『…………』
長い沈黙が続いた。
「……優…人…」
美里は蚊のような小さな声で言った。
『……誰!?もっかい言って』
優人には聞こえなかったようだ。
「……だから優人ッ!!」
!?
『今……何て言った?』
「だから私は優人が好きなのッ!!」
今度は声を張り上げて大きな声で言った。
『マジかよ………』
(美里の好きな人って俺のことだったんだ)
「優人の好きな人教えてよ……?」
(あんな反応されたってことはやっぱりダメだったんだぁ)
『そうかぁ……何だぁ……』
優人は手で顔を隠して笑った。
「……笑わないでよ?本気なんだから」
(恥ずかしいよ……笑われちゃって絶対振られる……)
優人は確かに笑っていたがその笑い声とは裏腹に大量の涙を流していた。
手で顔を伏せたのは美里に涙を見せたくなかったからだ。
笑ったのはその不自然さを無くすためだった。
最初のコメントを投稿しよう!