心の在処

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――ハル ……何?あたしを呼ぶ声……男のような女のような若いのか老人なのか……よく分からない声。 ――ハル助けて!早く…。 ……そう言われてもなぁ…困る……。 一条の光もない暗闇の中で横たわっているような不思議な感じ…… ――今、世界は滅びようとしている…あなたの力が必要なの! 場面が暗闇から一気に情景に変わる……戦争だ。 沢山の人が死んでゆく…… あたしは何故か見入ってしまう。 場面がコロコロ変わってゆく……もうそこに居たくなかった。 ――待ってる。この世の真ん中で…… ……あなたは? ――今はまだ明かせない。 ……明かせない? ……ごめんなさい……でも、いつかわかる。 ……う、うん。わかったよ……聞かないから。 ――ありがとう。じゃあ、あなたは起きなさい? ……そうする。 ――待ってる……調和の力を継ぎし者……。 ……はぁ?聞こえない! ――……。 ……ちょっと何か言えよ! ――……。 と、急に真っ暗な世界に放り出された。 寒い…………。 ぶるぶると震え膝を抱える。 怖い!…… 目をギュッと閉じる。 「ハル―!!」 ガタン!!! 「いでぇ!!」 ベッドから派手に頭から落ち、後頭部を強打。 「あんたいつまで寝てんだい!早くしないと儀式に間に合わないよ!」 母さんが階段の下から呼んでる。 「テテッ……おう、わかったよ母さん。」 後頭部を擦りながら階段を降りる。 …あれ?さっきの夢何だっけ? 変に靄がかかっててはっきりしないなぁ……。 まあいっか? 「ハル、早くしな!」 「へーい。」 あたしはあまり深く考えないで階段を軽快に降りていった。
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