2章

4/7
前へ
/117ページ
次へ
第一に目に入ったのは真っ白で無機質な天井だった。 響馬は妙な暖かさに目を覚ます。 ぼんやりと天井を眺めながら状況を整理する。 無機質な天井の手前にアルミ製であろうパイプがある。 そこにS字のフックが固定されており、ビニール製の袋に透明の液体が入っている。そこから伸びた細いチューブは、途中四角い装置を通り、響馬の左腕へと繋がる。どうやら点滴のようだ。 四方は天井近くにある銀色のレールからぶら下がるクリーム色のカーテンで覆われている。 明らかにそこは病室らしい事だけは響馬にも確認出来る事だった。 「ここは………」 暫くしてようやく今までの事が思い出される。 「…!……絋瑠!?」 自分と一緒に倒れていたはずの友人の名前を呼ぶ。 「……響馬…?」 隣から聞こえる少し間の抜けた声。 右手で乱暴にカーテンをめくる。 「やっほー。」 絋瑠は響馬に向かって手をヒラヒラとさせて振る。 その時、その部屋のドアがスライドし、一人の女性が入って来た。 「気付かれました?御気分は如何です?」 女性は一目で看護師と判る服装をしていた。 束ねられた髪はナースキャップに収められ、機動性に優れるよう、下がズボンタイプのナース服だった。 「初めまして。私は看護師のイズミと申します。」 折目正しくイズミは響馬と絋瑠に向かって挨拶をした。
/117ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加