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小さな小さな村だった。
住んでいる人は500人程度しかいない。
ほとんどが中年から高齢者という過疎が進んだ村でもあった。
自然豊かで小川もあり、ゆったりとした時間の中で人々は平和に暮らしていた。
そんなのどかな村で育った若者の一人、阿司煉 響馬(アスレンキョウマ)は勉強がよく出来る秀才ではあったが、大学への進学はせずに村の経理関係で働いていた。
冬にもなると村は雪に埋もれ、音が本当に少なくなる。
響馬は雪を掻き分けながら村の裏手にある山に居た。
腕の中には大量の薪。
「きょーまぁ!集まったかぁ!?」
響馬は顔を上げる。
薪を抱えながら山の斜面を眼鏡をかけた青年が駆け降りてくる。
「おい、気をつけろよ絋瑠(ワタル)!」
絋瑠と呼ばれた青年は響馬の幼馴染み。
身長は響馬より少し低いくらい。
「大丈夫だっ…てぇ!?」
雪の斜面を勢い良く駆け降りていた為に躓いた時の転びようは派手だった。
ズザッズゾッバキバキッズバンッ
薪を折りながら派手に絋瑠はこけた。
「だ…大丈夫か?」
響馬の呼びかけに絋瑠はムックリと身を起こす。
あれだけ派手に転んだというのに眼鏡は割れもずれもせず、同じ場所にスタンバイしていた。
二人して笑い合っていると、おかしな音がし始めた。
さらにそれに異臭も混ざり始めた。
「きな臭い…?」
二人とも異変を嗅ぎ取る。
その時、轟音が響く。
ビリビリと空気が奮え、背後で黒煙が上がる。
「な…!」
二人は愕然とした。
村
が
燃
え
て
い
た
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