1章

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吹雪の中二人はあてもなくさ迷っていた。 状況が状況だった為に、食料も水も何もない。 身一つで雪の中を歩いていた。 視界が全くきかないので何処に向かって歩いているのかさえ分からない。 ただ村から遠ざかっている事だけは背後に揺らめく炎の光りでわかっていた。 やがてその炎も 見えなくなった。 そうしてただやみくもに歩くしかなくなってしまった。 雪さえなければ、足元に道があり、わかるのだが、それもかなわない。 さらに吹雪ている為に、普段なら遠くに見える街も見る事が出来ないでいた。 聞こえるのは自分の吐息。 見えるのはすぐ隣の友人だけだった。
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