2章

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一人の少女が狭く薄暗い廊下を歩いていた。 少女はセミロング位で緩くウェーブのかかった銀糸のような髪を頭の後ろで無造作に一まとめに括っていた。 紺色のカーディガンを羽織り、黒いジーンズに黒い編み上げブーツを履いていた。 腰には右側に工具の入った袋をぶら下げ、左と右斜め後ろには銃がぶら下がっていた。 少し幼さの残る顔立ちには何処か凛とした物を感じさせていた。 少女は静かに自室へと向かっていた。狭い通路は暖房が入っておらず、息が白くなる程気温が低い。 少女の耳には自分の足音のみ反響して聞こえていた。 少女が居る場所はスカイキャラバン『Lunatic Aura』(ルナティックアウラ)。 様々な商品やサービスを取り扱う巨大商船だ。 少女はふいに足を止める。 コォン…コォン… 人為的な音が響く。 少女が居るのは船の左舷第1エントランス付近。 機械がひしめいてはいるが、明らかに機械音ではない少女が聞いた事もないような音が響く。 コォン…コォン… 少女は急いで左舷第1エントランスのハッチ(出入口)付近へと駆け寄る。 固く閉ざされたハッチ横のパネルを操作し、外部モニターに接続する。 「…?」 雪で良く見えないが、2つの影が船体を叩いているのが分かる。 少女はパネル横のインカムを付け、通信を行った。 『こちら情報司令管理室』 返ってきたのは相手の場所。 「こちら[月詠](ツクヨミ)。左舷第1エントランスのハッチA、外部モニターより不審な影2つを目撃。 雪の為に肉眼による認識が困難と判断。解析を依頼する。」 『了解』 やり取りの間も少女はモニターから目を離さない。 すると、片方の影が崩れたのが認識出来た。 『解析完了。個体2つは人間と判断。体温が低下している模様。生命維持に問題有りと解析。直ちに救助せよとの司令。』 「了解。」 少女はインカムを外し、通信を切ると素早く棚に置いてあるコートを羽織り、手袋をはめる。 流れるような動作でハッチを開け、外へと出た。
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