少女ジュリエル

2/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
体が熱く、ウズく。 ああ、まただ…。 満月の晩はいつもそう…私の体は熱く、熱く血を求めようとする。 雄叫びを上げ、人間の喉笛にくらい付き、その血と肉片をぶち撒けたい。 人を、食べたい…。 私が満月のたびそうなるのは、体に流れる人狼の血のせい。 私の中の人狼の血は、私をいつも誘惑する…。 半分は人間の血だから、いつもは人を食べたいとは思わない。 逆に、いつもの私は肉を食べない。 当然、人間の肉も。 そのせいか、本来赤いはずの私の瞳はオレンジ色だ。 私は、その事を自慢にしている。 「……嫌な臭いが、近づいて来た…わ」 私の中の魔奴の血は本能的に人を食べたがる。 私の中の人間の血は人食を許さない。 「いたぞ!あの娘だ!」 「生ける取りにしようとは思うな!見つけしだい殺せ!」 「子どもだからといって侮るな!あいつにはもう、仲間をたくさん殺されているんだ!」 赤と黒の修道着を身に纏った三人の男達が、銀の剣と銀弾の込められた銃を持って私を追いかける。 いつもなら逃げ通すか返り打ちにすれ所だけど…今日ばかりは血を見るわけにはいかない。 ああ…何でよりによってこんな日に!
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!