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体が熱く、ウズく。
ああ、まただ…。
満月の晩はいつもそう…私の体は熱く、熱く血を求めようとする。
雄叫びを上げ、人間の喉笛にくらい付き、その血と肉片をぶち撒けたい。
人を、食べたい…。
私が満月のたびそうなるのは、体に流れる人狼の血のせい。
私の中の人狼の血は、私をいつも誘惑する…。
半分は人間の血だから、いつもは人を食べたいとは思わない。
逆に、いつもの私は肉を食べない。
当然、人間の肉も。
そのせいか、本来赤いはずの私の瞳はオレンジ色だ。
私は、その事を自慢にしている。
「……嫌な臭いが、近づいて来た…わ」
私の中の魔奴の血は本能的に人を食べたがる。
私の中の人間の血は人食を許さない。
「いたぞ!あの娘だ!」
「生ける取りにしようとは思うな!見つけしだい殺せ!」
「子どもだからといって侮るな!あいつにはもう、仲間をたくさん殺されているんだ!」
赤と黒の修道着を身に纏った三人の男達が、銀の剣と銀弾の込められた銃を持って私を追いかける。
いつもなら逃げ通すか返り打ちにすれ所だけど…今日ばかりは血を見るわけにはいかない。
ああ…何でよりによってこんな日に!
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