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俺の名前はシロだ。
そう思って居るのは飼い主が俺をそう呼ぶからだ。
だからシロ、と呼ばれたら尻尾を振り、飼い主の側に行く。
もう御解り頂けたと思うが俺は、犬だ。
犬だからといって俺は自分の生き様を卑しく思ったり他人様を羨んだことはない。
俺は毎日、地にしっかり四本脚をつけて、御役目を果たそうとして居るのだ。
俺の役目は俺の飼い主であり、余りにも気の毒なやり方でこの世に足を踏み入れた、少年を守ることだ。
少年の名は太郎。
心無い輩達は唇の端を歪めながら『怪(あや)しの太郎』と呼ぶ。
何故、俺の飼い主がその様な扱いを受けなくてはいけなかったのか、俺はこれから話そうと思う。
先ずは事の起こりから語るのが良いだろう。
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