始まり

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そして、向かったのは理加の席の前の席。 結城はイスを出すと、理加の机に当るギリギリの所で止め、チョコンとそのイスに後ろ向きに座った。 もちろんそれは、理加の方を向いて座ったという事だ。 理加は結城が座った事に気付いているのかいないのか、ただ先程までやっていた作業を続ける。 結城はしばらく理加の顔をじっと見ていた。 《……》 結城は自分でも不思議なくらい理加が気になっていた。 「……?」 理加はやっと作業を止め、結城に何?と言うような顔をした。 それを察した結城は一言… 「暇」 そう言った。 理加はそんな結城の言動がおかしかったのか、結城に笑ってみせた。 二人は初めてこの日まともに話をした。
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