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結城は週に一度のこの選択授業を楽しみにしていた。
この時期、結城はクラスで体育委員をしていた為、選択授業の時も体育委員の仕事をしていた。
「ぜんたぁい、止まれ!」
グランドを3周して、準備運動。
それが終わると、軽くパスの練習をして授業が終わるまで試合をする。
それが、この授業の内容だった。
いつも通り、パスの練習をしていると、結城の右肩に隣りでパスの練習をしていた理加のボールが飛んできた。
「いてっ」
結城は咄嗟に右肩を押さえた。
そんな結城に駆寄る理加。
「ゴメン、痛かった?」
「イヤ、大丈夫やけどココケガしとったけん」
結城はそう言うと、理加にまた大丈夫やけんと言った。
理加は心配そうな顔をして、
「どんなケガ?」
と、問い掛けると、結城は右腕の袖を捲りあげた。
そこには無数にある丸い痣。
理加は、一瞬目の色が変わったがすぐに元も目に戻った。
そして、恐る恐る結城の痣に人差し指で触った。
「バカ、触んな!」
結城は咄嗟に理加の指を弾いた。
それが二人の出会い。
最悪と言えば最悪な出会いだった。
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