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周りはもう、眩しい程明るくなっていた。
私は暫く空を飛んでから、手頃な樹木へと停まり、羽を休める。
私が止まった樹木には、すでに私の仲間が居た。彼は、大きな声で啼いていた。
私は声を掛けようとしたが、気高く啼く仲間にそれは辞めようと思った。
そうだ、私も啼けるのではないだろうか。
そう思い、私は仲間の真似をして啼いてみる事にした。
腹の筋肉を震わせ、ぽっかりと空いた内部に音を響かせる。
だが、周りに響いた私の声は、仲間のそれとは全く違っていた。
仲間の声は、じいじいと、暑さを吹き飛ばすかの如く快活に響く。
しかし私の声は、りん、と暑さに染み入る様に静かに響いたのだ。
私は、おかしく思った。そして改めて、私の姿を見てみた。
私は、白であった。
樹木に停まる仲間の姿は、樹皮の色に混じる様な焦茶であるのに対し、私は、遥かな空に浮かぶ一筋の雲の様な、真白だったのだ。
私は疑問に思った。何故、私は白なのかと。
私は、答えを探してみたくなり、仲間の停まる樹木を飛び立った。
仲間は、私が飛び立った直後に、一際大きく啼いた。
別れを告げてくれたのかもしれなかった。
再び空を飛んだ時、私は地上の広さをまた知った。
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