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体育館に着いてからは、麗子もだいぶ落ち着いていた。
クラブ紹介が始まり、各クラブが次々とパフォーマンスを見せ、時折人気のある先輩が出てくるクラブには黄色い歓声が上がった。
次に委員会が淡々と紹介されていく。
「お待たせしましたー! 一年生諸君ッ! 次はいよいよ生徒会の紹介です!」
司会者が言い終わるや否や、今までとは比べものにならない歓声が上がる。
「キャーッ! 孝太郎様ー!」
「衛土様ー!」
あまりの煩さに耳を塞いだ。
壇上の裾から生徒会役員が現れると、さらに歓声は凄まじさを増す。
一人の男がマイクの前に立ち、声を発する。
「静粛に!」
その声の主を見て、麗子と顔を見合わせた。
麗子のファーストキスを奪ったあの男だ!
男は静かになったのを見て、話し始める。
コウ「はじめまして。ようこそ、我が立花高校へ。私が生徒会会長の森谷 孝太郎(モリヤ コウタロウ)です。まず始めに生徒会役員の紹介をします」
あの茂みで会った時とはまるで別人のような堂々とした礼儀正しい姿に、私も麗子も唖然とした。
あの時はよく顔を見る余裕がなかったけど、背も高く、遠くから見ても分かる程、とても顔立ちとスタイルが良い。
エイト「…副会長の椎名 衛土(シイナ エイト)」
副会長も会長に引けをとらない程のスタイルと顔の持ち主だ。
次々に役員が紹介され、どの役員も美形揃いだ。
再び会長が話す。
コウ「立花高校の校訓は“個性を尊重し、伸ばす”というものです。皆さんがそれぞれの個性を生かせるクラブや委員会に入って頂きたい」
冷静ながらも、どこか情熱を含んだ言葉のひとつひとつに生徒は皆、教師までも彼の言葉に聞き惚れていた。
生徒会の紹介が終わり、軽く司会者が挨拶をして、クラブと委員会紹介は終わった。
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