2皿目 ただの緑の液体

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「……だから、息子を奪った陽子さんと友香さんは歓迎されねえってわけか」 「まあ、そういうこと。ばあちゃんには、親父の葬式の時に会った以来だし、ぶっちゃけ言ってまったく覚えてねえんだけどさ。こないだ、突然俺に会いたいって電話かかってきて、お袋と姉ちゃんは行けねえから一人で行くことになったんだけど。なんかさ、さすがの由貴ちゃんも一人で行くの心細いっつーか、なんつーか……で、竜を誘ったんだよ」  まあ、断られたら一人で行く気だったけど、と笑うと竜はそんな由貴を見たあと、視線を逸らした。  窓の外から見える景色は、どこか曇った表情をした由貴とは正反対に、青々とした雲ひとつない空が広がり、太陽の光に照らされた緑が広がっていた。 「まあ、普段天真爛漫な由貴ちゃんにも裏ではこう、ミステリアスな一面? 暗い影っつーのを背負っているわけですよ。やべえ、俺ちょう格好よくね!?」 「バカじゃねえの」  真剣な顔をして聞いていた竜は、ふざけ始めた由貴に呆れたような顔をすると、冷たくあしらい、なんでもなかったかのようにぼんやりと外を眺めていた。  そんな竜を見て、さっきまでの何か思いつめたような雰囲気はどこへ行ったのか、由貴はにんまりと元々細い目をさらに細めて笑った。  二人はまだこの時、思いもしなかった。  自分達がまたもや事件に巻き込まれることになることを……。 「ギャー! メメメメロンソーダの炭酸抜けてる!?」 「お前、ここでもそれかよ」
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