3皿目 叔父さんといっしょ

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「あちー……」 「つーか、マジでなんもねえな」  辺り一面に青田が広がっている。木で作られた今にも崩壊しそうなバスの停留所の屋根の下で、竜と由貴はバスが去っていく後ろ姿を眺めていた。  竜は一度キャップを取ると、額に滲んだ汗で張り付いた長めの前髪をかきあげて、被りなおすと、隣できょろきょろと辺りを見渡している由貴を見た。 「これからどうすんだよ」 「え? ああ、確か到着する時間は伝えてあるから、親父の兄貴の清治って人が車でここまで迎えに来てくれるってことになってんだけど……」 「ふうん……」  由貴と竜がそれらしき車が来ないかと、日陰から出てバスが来た方向を眺めていると、後ろからガタガタと車が安定の悪い道を走る音と、クラクションが二回聞こえた。  二人がその音に振り返ると、青い車が二人の後ろで止まっていた。  車の窓が開くと、一人の男が顔を出した。 「えーっと……由貴くん、かな?」 「あ、はい!」  優しげな面立ちの男は、由貴と竜を迎えに来た由貴の叔父である斎藤清治(さいとうせいじ)であった。  由貴は元気よく返事をすると、肩にかけていた大きな荷物を抱えなおして、その車へと近づいた。竜もその後を追って車に近づく。 「ごめんね、ちょっと遅れちゃって」 「ああ、いいっすよ。俺達もさっき着いたばっかりなんで」 「そう……えっと、確か君が由貴くんの友達の――……」  竜のほうを見た清治に、竜はキャップをとって小さく礼をした。 「藤嶋竜、です」 「そうそう、藤嶋君だったね。いやー、こんな田舎まで二人とも大変だっただろ? さあ、早く車に乗って」  清治は人の良さそうな笑みを浮かべると、由貴と竜は後ろのドアから車内に入り、後部座席に並んで座った。  荷物も一緒に持って入ったため窮屈になったが、二人は荷物を足元に置いてそれを足元で挟むように座った。
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