27皿目 年上キラー

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「竜様ー、奈緒あの指輪欲しいなあー。初めてもらったプレゼントは、お祭りで彼が当てた射的の景品の指輪……こんなオモチャでごめんな……そんな、竜様にもらえただけで奈緒十分嬉しいです! ……今度は本物、プレゼントするから、それまでの予約……竜様! 奈緒嬉しい!! 指といわず、奈緒の全てを予約してください!……って、あれ? 竜様?」 「よっしゃーー!! 白ネコゲットーー!! やりました、岡本選手!! 見事命中です!! ドンピシャです!」  焼そばアーン作戦が失敗に終わった奈緒はめげずに、今度は竜に射的をねだろうと一人芝居を交えつつ、勢いよく竜を振り返ったが、そこには既に竜の姿はなかった。  竜の代わりに奈緒の視界に入ったのは、やたらテンション高くガッツポーズをして、騒いでいる由貴だった。奈緒は慌てて辺りを見渡すと、竜は向かいの焼き鳥屋に居た。 「竜君、昨日は準備手伝ってくれてありがとうねえ。はい、これお礼に一本サービスしちゃう」 「ありがとうございます」 「あら! 竜君、来てたのね。じゃあ、あたしのとこもサービスしちゃうわ!」  焼き鳥屋のおば様の他にも、周りにいたおば様方が次々と竜に自分の店の商品を渡していた。  先ほどまでの奈緒に対する鬱陶しそうな不機嫌全開の表情はどこへいったのか、竜は小さく笑いかけながら礼を言っている。  村で見たこともないような、都会の垢抜けた美青年に村のおば様方はすっかり虜になっていた。やや平均年齢の高いハーレム状態である。 「…………」 「おー、さすがドラゴンフェロモン」  その光景を見て、呆然としている奈緒の隣に由貴は立つと、キーホルダーを指で回しながら感心したように呟いた。
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