27皿目 年上キラー

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「そこの馬鹿」 「ん? 何? ……って、馬鹿じゃねえし!」  奈緒はドスの利いた声で由貴に声をかけた。その言葉に由貴は思わず返事をしてしまったが、すぐに声を張って言い返した。  しかし、奈緒は由貴のことなど一切気に留めず、淡々と言い返した。 「竜様って、もしかして年上が好き……?」 「竜? あー、前付き合ってたのは大分年上だったと思うけど、別に年上専門ってわけではねえんじゃねえの」  年下には興味ねえと思うけど、と由貴があっけらかんと口にすると、奈緒は驚いたように目を見開いて由貴を見た。 「竜様……前に付き合ってた人いるの!?」 「うん。つか、あの顔でまだ付き合ったことありませーん、とかねえだろ。あ、でも別に遊び人ってわけじゃねえからな! そこは竜の親友である、この岡本由貴君、かっこ17かっことじ、が保障します!」  えっへん、と無駄に得意げに言う由貴に奈緒は、そんな……と呟くと顔を俯けた。 「運命の出会い、真夏の初恋が……」 「ドントマインド、略してドンマイ」 「……真夏の初恋……待って、別に竜様が初恋じゃなくてもいいじゃない? ……今まで多くの女を相手にしてきた遊び人の彼が、初めて本当の恋に落ちる……いい! いいわ!」 「君、人の話聞いてた?」
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