32皿目 確かに食べましたけども

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 7月30日。  8:00。 「すげえ雨降ってんじゃん」  どしゃ降り、と由貴は呟きながら部屋の窓の傍に立つと、窓の外を眺めた。  空には黒くどんよりと重い雲がかかり、バケツを引っくり返した、という言葉がぴったりなように激しく雨が降っていた。太陽の光が差し込んでいないためか、部屋の中は朝にも関わらず、薄暗くなっていた。  竜は起き上がると、布団の上でぼんやりと窓の近くにいる由貴を見ていた。まだ目が覚めきっていないのかうつろな目で、右手で寝癖のためかいつも以上にあちこち跳ねたブラウンの髪をかき混ぜた。 「今日、祭りあんのかねえ」  な、竜。と由貴は窓の外から今だに布団の上で胡坐をかいたまま、現実と夢の世界を行き来している竜に視線を向けた。 「……昨日焼そば食っただろ」 「焼そば!? 何の話だよ!」  寝ぼけた竜の返事に由貴は噴き出した。  竜は視線を由貴から下に向けると、大きく口を開けて欠伸をした。  由貴はまさかの竜の返答がツボにはまったのか、顔をくしゃくしゃにして笑っていた。
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