32皿目 確かに食べましたけども

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「今日ってやっぱ祭りねえのかな?」 「そうだねえ。さっき清治が村長から祭りは中止だと連絡があったらしいからね」 「そっかー……」  由貴は残念そうに呟くと、左手でポケットの中から白猫のキーホルダーを出して、揺らした。  チリンっとキーホルダーが寂しそうな音を出す。  今日の祭りで裕斗に渡すつもりだったのだろう。 「今年は祭りもなくなるし、残念だねえ……それにまた子供がいなくなったらしいしねえ……」  隆子は饅頭を二つに割りながら、眉を下げて呟いた。  由貴は隆子の言葉に視線を手元のキーホルダーから隆子に向けた。 「昨日の夜のやつ? 可哀相だよな……」  由貴は昨夜のことを思い出したのか、眉を顰めて呟いた。竜は麦茶の入ったグラスを手に持って口につけながら、由貴に視線を向けた。  すると、隆子が由貴の言葉に不思議そうな顔をした。 「昨日の夜? 清治の話じゃ、今朝もう一人いなくなったって聞いたんだけどね」 「え……今朝?」  隆子の言葉に由貴は目を見開いた。  確か誠太が発見されたのは昨夜のことである。それなのに今朝もう一人なくなったというのはどういうことなのか。由貴と竜は視線を合わせると、もう一度隆子に視線を向けた。 「そのいなくなった子供って……誠太って名前?」 「誠太? ……違うねえ、清治から聞いた名前は確かーー……」
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