35皿目 抱っこちゃん

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「朝、一緒に探しに行ってくれんの? 竜、朝弱いのに……」 「そうだっつってんだろ。お前人の話も理解できねえのかよ」 「…………」 「……おい、由」 「竜ううううーーーー!!!!」 「!!」  竜の言葉に由貴は俯いて黙り込んでしまった。竜がその様子を不審げに見ていると、由貴は勢いよく顔をあげて、四つん這いで竜に突進していく。  竜は突然のことに驚いて体を後ろに引いたが、一歩反応が遅れてしまい、突進してきた由貴が竜の腰にすがりついた。 「んだよ! 冷たい態度なんてとっちゃって!! このツンデレ! もう竜愛してるーー!!」 「やめろ!! うぜえ!!」  竜は心底鬱陶しそうな顔をすると、右足を上げてすがりついてくる由貴を押し返した。 「照れんなってー。愛情表現じゃん!」 「お前はいちいち大げさなんだよ!」  由貴はしぶしぶ竜から離れると、そのまま床に腰をつけ胡坐をかいて竜を見上げた。竜は不機嫌そうな顔で由貴を見下ろす。 「飯食って、風呂入ったら大人しく寝るわ」 「そうしとけ」 「おー」  にんまりと笑う由貴に竜は、やれやれとため息をつくと踵を返して、部屋を出て行った。  部屋に残された由貴は足を伸ばすと、そのまま後ろに倒れて、天井を見つめた。  右手をズボンのポケットに入れて、その中から白い猫のキーホルダーを取り出すと、手を上げて目の前に掲げた。天井についた蛍光灯の明かりが、白い塗料に反射して光る。  チリン、チリン。  揺ら揺らとキーホルダーを由貴は鳴らすと、ぎゅっと右手で握り締めた。 「無事、だよな……裕斗」
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