4皿目 ついやってしまう行動

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「由貴、随分見ないうちに大きくなって……久しぶりだねえ」 「え、あ、ばあちゃん……?」  優しげな顔で微笑む老女、斎藤隆子(さいとうたかこ)に由貴は戸惑いながらも目を合わせると、隆子は嬉しそうに目を細めた。  その隆子の優しそうな様子に由貴の隣に座っていた竜が肘で由貴をつつき、顔を寄せると小さな声で呟いた。 「いい人そうじゃね?」 「え、あー……うん。なんか、話と違う感じするけど……」 「由貴、そっちの子がむこうの友達かい?」 「あ、そうそう。藤嶋竜っていうんだけど、小学校からの友達でさ。都会育ちのお坊ちゃんだからどーしてもついて来たいっていってさ」 「そうかい。せっかくだから楽しむといいよ」 「はい……」  竜は隆子の言葉に返事をした後、由貴をギロリと睨んだ。  由貴は竜から向けられる鋭い視線に目を合わさないように視線を隆子に移すと、にんまりと笑いかけた。  それから由貴は隆子と清治に向こうでのことや、高校でのことなどを話していた。  竜は先ほどの由貴の言葉が不服なのか、不機嫌そうに胡坐をかいてその会話を聞いていた。 「おい、さっきのどういうことだよ」 「へ? さっきのって?」  由貴と竜は、清治に案内された部屋に入ると荷物を置いてくつろいでいた。  由貴は窓辺に立って、窓を開け、いつの間にか夕日でオレンジ色に染まっている外を眺めていると、後ろに座っていた竜から不機嫌そうな声がかけられた。
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