40皿目 人妻とティシャツ

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「竜ーー……」  部屋の扉をゆっくり開けながら部屋に入ると、窓を開けてオレンジ色の光が包む部屋の中に竜は横向きになって寝転がっていた。その前には扇風機が置かれて、180度に首を振っている。扇風機からの風があたる度に竜の髪がふわりと持ち上がった。 「……寝てんの?」  反応を返さない竜の傍に由貴はそろそろと近づいて、寝転がっている竜を覗き込むと竜は目を瞑って規則的な寝息をたてていた。  由貴はその様子に少し笑うと、仰向けに寝転がった。 「マイペースだねえ……」  扇風機の風はあたらないけれど、開けた窓から入ってくる自然の風に由貴は気持ち良さそうに目を瞑った。 「疲れたなー……」  遠くで蝉の鳴き声が聞こえる。風で木の葉が揺れる音。ふわりと風が由貴の短い前髪を撫で上げる。 『 由貴にいちゃん 』  小さなかわいい声が聞こえた気がして、由貴は瞼を上げた。  紗江子の話では裕斗がいなくなったのは29日の昼辺りから。  何か、気付いてやれてたら……。  由貴はそう考えるとまた瞼を瞑って、眉を顰めた。 「チクショ……」
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