41皿目 ご利用は計画的に

6/6
前へ
/248ページ
次へ
「なあ、竜……ほんとはなんかわかってんじゃねえの?」  竜は寝転がった由貴を一瞥した後、首にかけていたタオルを右手で掴んで首元に張り付いた髪を拭った。 「……さあな」 「だあー! もう、なんだよー! 気になんじゃん!」  由貴はうつ伏せになって、バシバシと布団を叩いて暴れた後、そのまま布団に顔を埋めたまま黙り込んだ。竜はそんな由貴の様子を呆れた表情を浮かべて見下ろした後、こみ上げてきた欠伸に持っていたタオルで口元を押さえた。 「竜のケチ……教えてくれたっていいじゃん。ほんとはもっとわかってんだろー……」 「わかってねえよ、なんとなくしか」 「なんとなくでもわかってんじゃん……」  布団に顔を埋めているせいで由貴の声は少し篭っている。竜はそんな由貴を見下ろしたあと、溜息をついて口を開いた。 「卓也や誠太にも不自然なとこはあるけど」 「……あるけど?」 「その二人は誰にだって殺せる。祭りの準備や何やらでほとんどの人間が広場にいたからな、その場から抜け出してやったとしても目撃される可能性だって低い。村にいた全員が容疑者って言ったっていいだろ」 「…………」  由貴は顔を竜のいる方向へと向けると、座っている竜を見上げた。竜は少し視線を下に向けたまま、話しを続ける。扇風機の機械音と虫の声。 「でも、裕斗は他の二人とは違う。いつ裕斗がプレハブに入れられたのか、それさえわかれば犯人は自然と限定されんだよ」 「…………」 「それが考えてもまったくわかんねえ……多分、裕斗と卓也、誠太の三人をやったのは同じ人間だろ……まあ、犯人が人間だったらって話だけどな」 「狐様の神隠しだって、ことかよ……竜、信じてんの?」  狐様のこと、と言いながら由貴は少し身体を起して竜を見上げると、竜は由貴の言葉に視線を上げて由貴の方を見た。由貴がじっと竜を見上げていると、竜は少し馬鹿にしたように口元を上げて笑った。 「ありえねえな」 「……言うと思った」
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4384人が本棚に入れています
本棚に追加