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8:45。
竜の予想通り8時に起きてきて、のそのそ身支度をしてゆっくりと腹いっぱい朝食を由貴が食べ終えたのは9時15分前。
今から用意してもバスの時間には間に合わないだろう。
朝食を食べ終えて満足そうな表情を浮かべている由貴の隣に座っていた竜は呆れたような表情を浮かべて、頬杖をつきながら横目で由貴を見て口を開いた。
「バスの時間、14時だからな。それまでに帰る用意しとけよ」
「……わかってるって」
竜の言葉に由貴は少し不服そうな表情を浮かべながら胡坐をかいている足に手を置いて、視線を竜からテレビの画面へと向けた。テレビの画面には見慣れた中年のアナウンサーと高学歴女子アナ。政治家の偉いオジサンが使ってはいけない金を使ってしまったらしい。
竜が頬杖をついてぼんやりテレビの画面を見ていると、由貴が視線を竜に戻して口を開いた。
「なあ、やっぱわかんねえ?」
「何が」
「だからー……昨日言ってたことだって!」
「わかんねー」
竜は由貴の方を見ずに、ぼんやりとテレビの画面を見たまま欠伸をした。由貴は竜の普段よりもだるそうな雰囲気に唇を尖らせた。
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