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あの事件から一ヶ月ほど経った7月。
放課後、お馴染みのファミレス、ジャンゴ。店内は相変わらずの不況。カップル一組に、常連となっている家族連れ、そして……
「竜、竜、竜、竜、りゅうー!!」
「うるせえ、何度も呼ぶな」
店の奥の四人席に向かい合って座る男子高校生二人組、藤嶋竜と岡本由貴は相変わらず特に何をするわけでもなく、指定席と化しているソファに悠々と座っていた。
竜の前には、やはり相変わらずのアイスコーヒーが置かれており、そして、由貴の前にはグラスの三分の一までしか入っていないメロンソーダが置かれている。
竜は、突然自分の名前を連呼した由貴に不機嫌そうな顔をして、頬杖をついて眺めていた雑誌から由貴に視線を移した。
由貴は自分の方に向いた竜に、満足げににんまりと笑う。
「ダダン! さて、ここで問題です! もうすぐ来るスチューデントなら誰もが待ちに待っているものはなんでしょう!?」
「うぜえ」
「ブーブー!! 正解はサマーウ゛ァケーション! 夏休みです!」
一人で騒いでいる由貴に竜は冷めた視線を送ると、これ以上相手にするのも面倒なのかまた視線を雑誌に向けた。見なかったことにした。
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