43皿目 小銭の使い道

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「早くお姉さん見つかるといいねえ、頑張るんだよ!」 「ありがとうございました。頑張ります」  笑顔で売店の女に見送られながら竜と由貴はその場を後にした。駅の外に出ると、それまで黙っていた由貴が口を開いた。 「……なんだよ、アレ」 「……うるせえな。ああすれば手っ取り早だろ」 「いや、確かにアッサリ教えちゃってくれましたけども……」  竜は先ほどとは180度違った本来の不機嫌そうな態度で由貴に視線を向けた後、肩にかけていた鞄を掛けなおした。由貴は「新たな一面見ーけた……」と呟きながら、先ほど見た光景を未だに現実として捉えることができずにいた。  竜は不機嫌そうな表情のまま、舌打ちをすると由貴へと鋭い視線を向けた。 「忘れろ」 「無理です」 「…………」 「いってえええ!! ちょっと! 頭叩いても忘れねえから! どんだけ簡単なつくりしてんだよ、俺の頭!」  即答した由貴に竜は右手でその頭を叩いた。由貴はとんでもない衝撃がきた頭を両手で押さえながらしゃがみ込んだ。竜は不機嫌そうな表情を浮かべたまま由貴を見下ろした。痛みのあまりに少し涙目になった由貴が竜を見上げる。 「FVだ……フレンドバイオレンスだ……」 「黙れ」 「ひでえ……」  竜は憮然とした表情で由貴を見下ろした後、溜息を一つついて、口を開いた。 「……お前もさっきの話、聞いてただろ」 「…………」  真剣な竜の声に由貴は頭に置いていた手を下ろすとふざけた表情ではなく、いつになく真剣な表情で竜を見上げた。 「4日前にこの駅に来てた女は、あの人に間違いねえな?」 「……ああ、特徴とか、一緒だし……でも、それがわかったからってなんになるんだよ」  由貴が立ち上がって竜から視線を逸らして俯く。駅前にある古びた時計の針はすでに5時を過ぎていた。竜はそんな由貴の様子を見た後、ゆっくりと口を開いた。 「なんにもならねえことはねえよ……少なくとも『狐様』の正体はわかる」 「…………」  由貴は顔を上げて竜と視線を合わせた。竜は、少しだけ口の端をあげて笑った。 「村に戻るぞ」 「……もちろんっすよ」
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