44皿目 お酒は20歳を越えてから

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「突然すみません。実は今日、東京に帰る予定だったんで」 「ああ、それでここに」  竜がそう言うと省吾は納得したような表情を浮かべた後、口元を緩めて、由貴と竜に笑いかけた。 「気をつけて帰るんだよ」 「それが……帰れないんです」 「帰れない?」  その言葉に省吾は不思議そうな表情を浮かべて、竜に尋ねた。竜は不機嫌そうな表情を浮かべて由貴を指差した。由貴は、申し訳無さそうに右手で頭を撫でている。 「こいつが財布忘れてきたみたいで、切符が買えないんです」 「いやー、へたこいちゃいました」  ヘラヘラと笑っている由貴と眉間に皺を寄せて由貴を睨んでいる竜を見た省吾は、なんとも対照的な二人だと感心しつつ、苦笑いを浮かべた。竜は由貴から省吾へと視線を移すと、口を開いた。 「それで、村に取りに戻りたいんすけど、もうバスが出てないみたいで……よかったら村まで俺らも乗せてってもらえませんか」 「ど、どうかお願いします!! でないと、俺、生きて帰れません!」  竜は由貴の頭を掴むと無理やり頭を下げさせた。ゴン、と車体に由貴の額があたる。省吾は不機嫌なオーラを纏っている竜に慌てたように声をかけた。 「まあ、まあ、落ち着いて! 今から村に戻るところだから、乗ってくといいよ」 「ありがとうございます!! ああ、俺には省吾さんが天使に見えます! マイエンジェルです!!」  そうして、由貴と竜は省吾の車に乗って村に戻れることとなった。由貴が助手席に座り、竜が後部座席へと座る。省吾は由貴がシートベルトをつけたのを横目で見ながら、サイドブレーキに手をかけた。
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