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「そして、卓也が通った時に森の中へ連れ込んで、殺した。一見、卓也はあの崖から落ちて死んだように見えていたけど、実はそうじゃない……歩道から森の中の崖まではかなりの距離があった。それを抵抗する子供を引きずって行くのは時間がかかるし、声でもあげられたら見つかる可能性もある。卓也は殺された後に崖から落とされてる」
「卓也の背中の左側に何箇所か刺し傷があったんだろ？ 卓也の両親が言うに言えなかったんだってさー」
にんまりと笑いながら竜の話の後に口を開いた由貴を竜は一瞥すると、また視線を前に向けて話を続けた。
「傷の場所から考えて、おそらく美里さんは後ろから卓也を刺した。左側に傷が多いのは美里さんが左利きだから。奈緒が由貴にはさみを貸したとき、簡単なことなのに由貴がやたらもたついていたことで気が付いた……あのはさみは左利き用だった。弁当を食ったときに見た奈緒や京一は右利き。つまり、省吾さんか美里さんのどちらかが左利きだってことだろ」
竜の話に省吾は自分の右手に視線を落としたあと、眉間に皺を寄せて目の前に座っている美里の左手を見つめた。
「……誠太に関しては、祭りの当日、一緒にいたガキ共さえ誠太がいなくなったことに気付いてなかったんだ。それを大人が気付くはずがねえ。見つからねえようにして誠太を車に乗せて、あの池に連れて行って池に顔をつけて窒素死させた後、池に放り投げたんだろう。池の近くに子供が寝そべったくらいの大きさに草が折れてた……っても、まあ、ぶっちゃけ言って、誠太に関してはほとんど俺の予想にすぎねえんだけど」
「それなら、卓也くんのことも……」
「いや、卓也に関しては証拠があるし、三人目の裕斗で美里さん以外の奴が犯人ってことはありえなくなんだよ」
竜と由貴から少し離れた場所に座っていた清治が竜に反論したが、竜はあっさりとその言葉を否定した。清治はじっと竜を見た後、視線を逸らした。
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