49皿目 解答用紙

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「あの夜、広場に集まった後、俺達は何人かに分かれて卓也を探しに行った。そのとき、俺らを広場に連れて来た美里さんは一人で残っていたはず。あの時は、全員が動揺していたからか鍵を掛けずにその場を離れてる……裕斗をどこに隠せばいいか悩んでいた美里さんにとってプレハブ倉庫は都合がよかった。奥に入れておけば、そう直ぐには見つからない。後で見つかったとしても、神隠しと周りが勝手にとらえてくれる……間違ってますか?」 「…………」 「あんたなんだろ、本当のこと言えよ」  俯いて黙り込んでいる美里を竜は鋭い視線で見つめた。 「ちょ、ちょっと待って!! お、お母さんがそんなことするはずない! いくら竜様でも言っていいことと悪いことがあります! お母さんがやったっていう証拠はあるんですか!?」 「奈緒……」  それまで竜と由貴の話をじっと見つめたまま聞いていた奈緒が勢いよく立ち上がると、竜を今までのうっとりとしたものではなく、怒ったような表情を浮かべてみていた。すると、俯いていた美里がゆっくりと顔をあげて奈緒の名前を呼んだ。  竜は美里を一瞥した後、視線を奈緒へと向けると、一つ溜息をついてから口を開いた。 「証拠ならある。つか、お前自身がそれを証明したんじゃねえかよ」 「え?」  奈緒は竜の言葉に目を丸くした。自分が、母親が犯人だという証拠を証明したとはどういうことなのか。その様子を見ていた周りの人間も竜の言っていることを量りかねている。竜は目にかかる前髪を右手で荒くかきあげた。
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