8皿目 水は大切に

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「くらえ! ウォーターバズーカー!!」 「わあー!」  祭りの準備がされている広場の端にある水道。  由貴は水道の口に付けられているホースを手にとると、蛇口を思いっきりひねり、ホースの先を親指で少し押さえて何やらセンスのない名前を叫びながら、ホースの先を子ども達に向けた。  ホースの先から水がシャワーのように勢いよく噴出し、子ども達に降り注ぐ。子ども達はそれにきゃっきゃっと喜びながら走り回っていた。  竜はその様子を広場の周囲を囲むフェンスにもたれかかりながら、気だるそうに眺めていた。  容赦なく照りつける太陽に頬から汗が伝う。竜はその汗を右手で拭うと、ふと隣に視線を移した。  そこには、一人の壱也達と同じ年くらいの少年が立っていた。少年は由貴達の方をじっと見つめ、どこか寂しそうな表情を浮かべている。少年の肌は白く、髪は薄いブラウン。全体的に色素が薄いために、儚げな印象を与えていた。  しかし、そこは非社交的な竜。少年からまた視線を由貴達へと戻すと、フェンスにもたれて、欠伸をかみ殺した。 「なあ! 竜も来いよ」 「やだ」 「やだって……! 子どもか!」  珍しく由貴が竜につっこみつつ、由貴はホースを持ったまま水道に近づき、水を止めた。  由貴の後ろでは子ども達がもう水遊びは終わりなのかと残念そうな顔をしている。  子供達はもちろん、由貴自身も全身水浸しであり、着ていた赤い半そでの服は色を濃くしていた。
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