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広場の中央では何人かの男達がやぐらを建てたり、竜と子ども達を微笑ましそうに眺めている。
由貴はふと、隣に視線を向けると、そこには先ほど竜が見た少年が立っており、じっと由貴の方を見ていた。由貴と目が合うと、少年は慌てて視線を逸らし、その場を去ろうとした。
「おい、ちょ…………だるまさんが転んだ!!」
「!!」
由貴が声を張って叫ぶと、少年は大きく肩を揺らして立ち止まった。少年は恐る恐る由貴を振り返って見ると、由貴はにんまりと笑ってピースサインを少年に向けていた。
「作戦成功ー! さすがだるまさん、頼りになるねえ」
「…………」
由貴は笑いながら少年に近づいて、立ち止まってじっと由貴を見ている少年に視線を合わせるようにしゃがみこんだ。
「よっ! えっと……壱也達の友達?」
由貴の言葉に少年は首を横に振る。由貴はそっか、と呟くと頬を右手で掻いた。
「えー、じゃあ。名前なんつーの? あ、俺は由貴ね。由貴様でいいから」
「ゆ、悠斗……由貴様は……この村の人?」
「いやいやいや、マジで由貴様って言わなくていいから! 裕斗お前素直すぎ!」
由貴ちゃん困っちゃうよ、と由貴は裕斗に笑いかけた。
裕斗は少し恥ずかしそうに丸く柔らかそうな頬をうっすらと赤く染めると、困ったように笑った。
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