10皿目 サイドメニュー揚げ芋

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「いらっしゃい」 「ギャ、ギャアアア!! 妖怪ババア!!」 「誰が妖怪じゃ!!」 「いってえええ!!」  由貴が振り返り、視線を下にずらした先には、腰を曲げた白髪の老婆が立っていた。  由貴は思わず叫ぶと、その老婆に思いっきり脛を蹴られてしまった。竜は呆然とその様子を見ているだけであった。老婆は、ふんと鼻を鳴らすと、ずかずかと部屋の中へ入っていく。 「せっかく久しぶりの客が来たと思えば、失礼なガキか。ったく、冷やかしなら帰んな」 「ま、まじでいてえ……」  由貴は涙目になりながら脛を押さえて蹲っている。結局この後、なんとか老婆に客と認めてもらい、テーブル、もといちゃぶ台につくことができた。ちゃぶ台に置かれたメニューのようなものを二人は見ると、顔を引きつらせた。 「冷やし珈琲って、アイスコーヒーのことだよな? 揚げ芋って……フライドポテト?」 「だろうな。まあ、何芋かはわかんねえけど」  芋には色々ある。じゃが芋、さつま芋、里芋。どれが揚げられて出てくるんだ、と由貴の好奇心がうずいた。竜がちゃぶ台に頬杖をついてメニューを眺めていると、いつの間にか老婆がそばに立っていた。 「!!」 「注文は決まったかい」  竜は思わず頬から手を外して、後ろに身体を引いてしまった。 「えっとー……この、揚げ芋ってやつと炭酸水(ミドリ)ってやつと冷やし珈琲お願いね、おばちゃん」 「…………」 「おばちゃん?……え、いってええ!!」  由貴が注文するものを伝えたが、老婆は返事をせずにじとりと由貴を睨んでいる。  由貴はわけがわからず老婆を見ていると、老婆が右手に持っていたお盆で由貴の頭を叩いた。由貴は突然の襲撃に負傷した頭を抱えて蹲る。
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