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「あ、由貴兄ちゃーん!」
「お、壱也じゃん!」
由貴と竜が広場へ到着すると、広場では大人達がそれぞれの任された仕事をしており、着々と祭りの準備が進められていた。清治の後について、やぐらの側へと二人が足を進めていると、遠くから明るい子ども達の声が聞こえた。
元気良く由貴と竜の元へと駆け寄ってきたのは、壱也達であった。すっかり二人に懐いた壱也と隆史、紀美子、亜矢は満面の笑みを浮かべて由貴と竜を取り囲んだ。
その少し後ろに居た裕斗は、その輪に入れず、どうしたらいいのかわからない様子で壱也達を見ていた。
「よお、裕斗。おはよーさん!」
「! ……おはよう」
由貴は裕斗に気付くと、にんまりと笑みを浮かべて声をかけた。裕斗は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに嬉しそうに笑って返事をした。
子犬のようにじゃれついてくる子ども達を、由貴が楽しそうに構っているのを竜は呆れたように見ていた。
竜が由貴達から視線を外し、ぼんやりと広場を見渡していると、自分達を睨みつけている二人の少年に気が付いた。
「おい、何やってんだよ」
「へ? あ、卓也くん」
二人の少年のうち、青いシャツを着た少年が不機嫌そうな顔をして壱也達に声をかけると、壱也は振り返って少年、末永卓也のほうを見た。
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