11皿目 モテ期到来

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「そっか、卓也くんは由貴兄ちゃんと竜兄ちゃんに会ったことなかったよね」  壱也は由貴から離れると、卓也とその隣にいるもう一人の少年、水内誠太(みずうちせいた)の側へとかけより由貴と竜のことを紹介していた。  由貴と竜は、この二人があの神社で勝手にいなくなったという二人か、と考えつつ、自分達にお世辞にも好意的とは言えない視線を向けてくる卓也と誠太を見ていた。 「えっと、俺が由貴で、こっちの不機嫌そうなのが竜な。よろしく」  由貴は、ジロジロと見てくる卓也に近寄ると、にんまりと笑いながら視線を合わせるようにしゃがみこんだ。卓也は由貴を睨みつけると、ふいっと顔を背けた。 「誠太、行こうぜ」 「あ、うん!」  卓也は後ろに居た誠太に声をかけると、由貴に背を向けて歩いて行ってしまった。  しゃがみこんだまま卓也の後ろ姿を見ていた由貴は、膝に手を当てて起き上がると近くにいた裕斗の頭をわしゃわしゃと撫でた。 「なんだよ、かわいくねー。裕斗を見習えっつーの!」 「え、えっと……」  突然、由貴に頭を撫でられた裕斗は戸惑い、困ったように由貴を見上げた。そのどこか小動物のような姿に、由貴はにんまりと笑うと、両手で頭を撫でた。 「かーわーいーいー!!」 「裕斗くんばっかりズルイ! 由貴兄ちゃん、あたしもー!」  由貴が裕斗の初々しい反応に楽しそうに構っていると、側で見ていた亜矢が由貴の腕を掴んで、自分も構って欲しいと駄々を捏ねた。すると、紀美子や壱也、隆史達も、自分も構って欲しい、と由貴に群がり始めた。  すっかり、子犬の親のような状態になっている由貴を竜は呆れたように眺めていた。 「やだもー! 俺、モテモテじゃん!!」 「……すいません、何手伝えばいいんすか?」 「だから、スルーすんなよ!!」
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