2皿目 ただの緑の液体

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「……珍しく静かじゃねえの」 「……へ? あ、ああ……だって、竜が起すなっつったんでしょー」  由貴は窓から竜に視線を向けると、苦笑いした。その笑い方はどこかいつものあの「にんまり」とした満面の笑みではなく、無理をした笑い方で、竜はそれに眉をひそめた。 「変な笑い方すんなよ。元々悪い顔がさらに悪くなる」 「ひっでえ! なんだよ! 俺そんなに悪くなくね? 中の上の中くらいじゃね?」 「段階が細けえよ」  竜の言葉にぶつぶつと文句を言っている由貴を竜は横目で見た後、溜息を一つつき、座席に上げていた足を降ろした。それから窓側の席に深く腰かけると、頬杖をついて外を眺めた。  由貴は、すっかり自分から興味を無くしたように先ほど頭を打った窓に懲りずに頭を預けて瞼を閉じている竜を見た後、口を開いた。 「なあ、竜……寝てんの?」 「寝てる」 「起きてんじゃん! もう、竜ちゃんったらかわいい悪戯しちゃって!」 「…………」 「つっこめよー! 俺一人がすべったみたいになるだろ!」  すっかり本来のペースを取り戻し、騒ぎ出した由貴を竜は呆れたように見た。  由貴はにんまりと笑った後、眉を下げてどこか頼りなさげな顔をした。
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