16皿目 ドラゴンの気まぐれ?

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「そうだ、僕ちょっと出てくるから。二人ともご飯先に食べてて」 「出てくるって……なんかあったんですか?」  由貴が清治の言葉に首を傾げると、清治は言いにくそうに口を噤んだが、由貴と竜の視線に耐え切れず口を開いた。 「実は、村長から連絡が回ってきてね……末永卓也君が……行方不明らしいんだ」 「え? 行方不明って……つい一時間くらい前に広場にいませんでしたっけ?」 「それが……卓也君のお母さんが6時半にパートから帰ってきた時に、家にいなかったらしくて……夕飯の時間になっても帰って来ないし、卓也君の友達に連絡とったらしいんだけど、みんな卓也君とは帰り道に別れてから会ってないって……去年のこともあるし、村長が村の男達を集めて捜索しようって話になったんだよ」  清治の言葉に由貴と竜は黙り込んだ。  去年のこととは恐らく、二人の子供がこの時期に神隠しにあったことであろう。  夕飯の時間までに帰らないことくらい、由貴や竜にとってはなんでもないことであるが、この村ではそうではなかった。夜が深くなれば、いくら村で生まれ育った子供であっても、森に迷い込んでしまえば大変なことになる。 「じゃあ、僕は行くから」  清治は黙り込んだ由貴と竜を見た後、二人の横を通り過ぎようとした。その時、由貴が清治を呼び止めた。 「清治さん、あの……俺達も一緒に探しに行っていいですか」 「え?」  清治は由貴の言葉に驚いたように目を見開いた。竜は由貴の方を一瞥したが、反論する様子もなく、視線を清治に向けた。清治は困ったような顔をしていた。 「卓也とは、あんまり、というか、全然接してないんですけど……知らないふりはできねえっつーか……」 「……人手は、多い方がいいんじゃないですか」
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