16皿目 ドラゴンの気まぐれ?

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 由貴がしどろもどろになりつつ話していると、普段なら「めんどくせえ」の一言で足蹴にしてしまいそうな竜が珍しく後押しをした。  清治は、じっと見つめてくる二人にやれやれといった様子で息をつくと、苦笑いを浮かべた。 「……わかったよ。じゃあ、一緒に広場へ行こう。広場で一旦集まることになってるんだ」  清治の言葉に由貴と竜は頷いた。そうして、三人は広場へと向かおうとしたとき、まだ岡本家の敷地内に止まったままであった車の窓から、美里が顔を覗かせた。 「清治くん、広場まで送ってくわ! 乗って」  清治と由貴達の話を聞いていた美里は、三人に車に乗るように指示した。三人は顔を見合わせると、清治は助手席に、由貴と竜は後部座席に乗り込んだ。美里は全員が乗り込んだのを確認すると、エンジンをかけて車を走らせた。  夜道を車のライトが照らす。 「美里さん、ありがとうございます」 「何言ってるの、当たり前じゃない……それに、卓也君には(あおい)と同じ道をたどって欲しくないの……早く見つけてあげないと」  美里はそう呟くと、ハンドルを握っている手に力を込めた。清治は美里から視線を前に移して黙り込んだ。車内に重たい空気が流れる。 「……竜が自分から動くなんて珍しいんじゃねえの」 「…………」 「はい、シカトー」  竜は由貴を一瞥した後、視線を窓の外に向けた。窓の外は暗闇に包まれ、そこに何があるのか、すでにわからなくなっていた。まるで鏡のように窓に映る自分の姿を竜はジッと見つめていた。  闇が村を包む。  子どもが消えた。
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