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広場の入り口を一台の車が通る。車は広場の中央を通りすぎると、端にあるプレハブ倉庫の近くに停車した。プレハブ倉庫の近くには村の男達が集まっており、それぞれが手に懐中電灯を持ち、足元を照らしていた。
美里、清治、由貴、竜の四人は車を降りると、人が集まっている場所へと近づいた。
「すみません、遅くなりました」
「おお、清治に、美里さんも来てくれたのかい」
清治はその集団の中で一番年老いている男、村長の木戸川修造に声をかけた。修造が清治と美里に視線を向けると、清治の隣に立っていた美里は修造に向かって小さく頭を下げた。その後、修造は清治と美里から、その少し後ろに立っている由貴と竜に視線を移した。
「そっちの青年達は……」
「あ、この子達は僕の甥っ子とその友人で、協力してくれるというので連れてきました」
「そうか……よそ者があまり森をうろつくことは勧めんが、まあ、この事態だ。人手は多いほうがいいだろう」
由貴と竜は村長の言葉に眉を顰めた。確かにこの村の生まれではないが「よそ者」と言われたことが気にかかったのだろう。村長は由貴と竜から視線を外すと、また集団の輪へと視線を移した。
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