2皿目 ただの緑の液体

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「や、うん。竜にはさ、言おうと思ってたんだけど。さすがに理由も言わずに、ばあちゃん家に一緒に来てとか、意味わかんねえじゃん」  由貴はそう言うと、眉を下げて笑った。竜はその様子を頬杖をついたまま一瞥すると、窓の外に視線を向けた。 「…………」 「何から言えばいいのかわかんねえけど……俺の親父とお袋ってさ、実は駆け落ちってやつで、お袋はばあちゃんに嫌われてんだよ。まあ、自分から息子を奪ったって感じに思ってんだろーな」 「…………」 「それで、姉ちゃんは……親父の子じゃねえんだ」 「……は?」  竜は由貴の言葉に、驚いて目を見開くと頬杖をついていた手を頬から離して由貴の方を見た。  由貴はじっと床を見つめている。 「こっからが複雑っつーかさー。親父とお袋が出会ったときには、お袋はすでに姉ちゃんが腹ん中に居て……まあ、俗に言うシングルマザーってやつ? で、それでも親父はお袋に惚れて自分が父親になるなんて言ったらしくてさ……すげえよな。でも、そん時、親父は18でお袋が24。そりゃ親も反対するわな」  俺らの一つ上だぜ?と由貴は苦笑いした。  竜は由貴の話をじっと真剣な顔で一言も洩らさずに聞いている。  由貴は右手を首筋にあてて、首を掻く。 「親父の家族はそりゃもー大反対。でも、親父とお袋はどうしても一緒になりたかったらしくて、とうとう駆け落ち。で、今の家に住んで、姉ちゃんが生まれて……その後、熱い情熱を父から受け継いだ今世紀最後のスター岡本由貴誕生ってわけ」  由貴はしんみりとした空気を払拭するように、無理に明るくふるまってにんまりと笑った。
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