20皿目 仲間外れ御免

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「末永卓也君に間違いありませんね」 「はい……」  義夫と由美子の前に一人の男が出てきた。義夫が男の言葉に頷くと、男は卓也の傍にしゃがみ込み、卓也の身体をつま先から天辺まで見渡した。 「……あの人、誰なんすか?」 「え? ああ、あの人は、村の駐在の木原(きはら)さんだよ」  由貴は視線を男に向けながら、隣に立っている清治に男のことを尋ねた。清治は、由貴に視線を向けると口を開いた。由貴は清治に教えてもらった男、木原の正体に首をかしげた。 「ちゅうざい?」 「警察のことだ、馬鹿」 「へえー、竜ちんってば物知りなのね……って、馬鹿じゃねえし!!」  由貴はノリツッコミをしつつ、ふざけて竜の肩にパシンっと裏拳を決めたが、竜は冷めた視線を由貴に向けると、心底面倒くさそうにその手を払った。由貴は竜の冷たい対応に、ブツブツ言いながら、また前に視線を向けた。  丁度、木原は省吾に発見時の話を聞き終えたところであった。木原は顎に手を当てて、少し考える素振りをすると、口を開いた。 「それでは、事故ということで報告しておきます」  木原がそう呟くと、周りの大人達も同意したように頷き、義夫と由美子からも異論はなく、何も言わずに卓也の傍にしゃがみ込んでいた。
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