20皿目 仲間外れ御免

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「よそ者って……!」 「由貴君!」 「清治さん……」  由貴が修造の元へと向かおうとしたとき、隣に立っていた清治が由貴の前に腕を出して止めた。清治は由貴と視線を合わせると、苦笑いを浮かべて、首を横に振った。竜は、由貴と清治のやり取りを、ジッと見つめている。 「……後は皆にまかせて、僕らは帰ろう」 「でも――」 「帰ろう」  清治は由貴の言葉を遮って、はっきりとした声で言うと、由貴は清治から視線を逸らして黙り込んだ。清治は柔らかく微笑むと、自分達に背を向けている修造に声をかけた。 「村長、それでは僕達は先に帰ります」 「ああ、わかった。帰るついでにプレハブの鍵を閉めといてもらえるか?」 「はい」  清治は村長からプレハブ倉庫の鍵を受け取ると、小さく頭を下げた。その後、清治は由貴と竜に向き直ると、二人に笑いかけた。 「じゃあ、帰ろうか」  由貴は小さく頷くと、清治の後についてその場を離れた。竜は、ビニールシートに包まれた卓也を囲むように立っている男達を一瞥した後、清治と由貴の後をついて行った。  外灯もない、闇に包まれた夜道に三人の背中が消えていく。
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