21皿目 スカイイヤー ~空耳~

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 暫くの間、二人は何も言わず、由貴は下を向き、竜はぼんやりと視線を前に向けていた。  その沈黙を破ったのは由貴であった。 「なあ、竜」 「……なんだよ」  竜は視線を由貴へと向けた。由貴は下を向いたまま、言葉を続けた。 「……狐様ってマジでいんのかな……竜は、どう思うよ?」  由貴がそう呟くと、竜は眉間に皺を寄せ、目を細めて由貴を見た後、右手で髪を掻き混ぜた。あちこち跳ねたブラウンの髪が揺れる。竜は溜息をつくと、視線を上に向けて口を開いた。 「んなもん、いるわけねえだろ」 「ぜってえ、そう言うと思った」 「なら聞くんじゃねえよ」  由貴は竜の不機嫌そうな声に可笑しそうに笑った。由貴は右手で襟足を掻くと、大きな溜息をついた。 「どうなってんだろーな、この村。まったく、これっぽっちも理解できねえ」  由貴ちゃんお手上げ、と由貴はふざけたように笑うと、竜を見上げた。竜は由貴を一瞥すると、視線を上げて、遠くに見える家の明りを見つめた。 「卓也、なんであんなとこにいたんかねえー」 「さあな」  由貴は目を瞑って顔を伏せた後、ふと何かに気が付いたように目を開いて顔をあげると、辺りを見渡した。竜は挙動不審な由貴に不審げな顔をすると、由貴に声をかけた。 「どうしたんだよ」 「え、ああ。いや、なんか……子どもの声が聞こえた気がしてさ」 「子どもの声?」  竜は由貴の言葉に眉を顰めると、由貴は短い髪を掻いた。 「気のせい、だよな」
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