49皿目 解答用紙

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「俊哉くんのご両親は、一人息子を亡くした場所で生きていくのが辛いといって村を出ていって……あたしは葵の死をどうしても受け止めきれなくて、毎日ただただ泣いて過ごしていた……そんなとき、あの二人の子供が笑いながら話しているのを聞いてしまったの」 『卓也くん、だまってていいのかな』 『何がだよ?』 『葵と俊哉くんのことだって』 『別にいいだろ。歩く訓練させてやろうと思ってわざわざ森に連れてってやったのに俊哉の奴が本気になって怒るから、あんなことになったんだ。俺らは悪くないし』 『そうだよね。あそこで俊哉くんが大きい声ださなかったら、葵もおちずにすんだのにね』 『俊哉もバカだよなー。たすけようとして自分がおちるなんて』 「……その話しを聞いたとき、頭が真っ白になったわ。葵はどんな怖い思いをしたんだろう、そう思うと涙が出てきた……何も考えられなくて、ただ、葵や助けようとしてくれた俊哉くんを馬鹿にして笑ってるあの子達が憎い、それだけしか考えられなかった……後は、そこの二人の言っていた通りのことよ……裕斗くんには悪いことをしたと思ってる……なんの罪もないのに、動揺してしまって…………気が付いたら、首を絞めてた……本当に、ごめんなさい」  美里はそういい終わると、身体を前に倒して体を震わせて泣き出した。震える声で、何度も「ごめんなさい」と呟きながら。  その光景を見ていた由貴は手を強く握り締めると、唇を震わせた。 「……謝ったって、戻ってこねえんだよ……」
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