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鈍器で殴られたような鈍い音が牧場に響き渡る。
その後、何かが倒れたような音も響き渡る。
ただならぬ物音を聞いた【楓香】の父や仕事場の人達は、すぐさま音がしたであろう放牧エリアに向かった。
そこには悲惨な光景があった。
【楓香】が顔を血だらけににして倒れていた。
そう、【楓香】は母馬に顔を蹴られてしまったのだ。
父は叫んだ。
《【楓香】‼》
返事はない。
もう一度叫ぶ。
《【楓香】‼しっかりしろ‼》
ぴくりともしない【楓香】。
父はすぐさま同僚に救急車を呼んでもらい、応急処置をした。
15分後、救急車が到着。
すぐさま病院へ。
救急車の中で父はどうしようもない不安に襲われていた。
とゆうのも、【楓香】の母親も顔を鮮血で赤く染め、救急車で運ばれて、【楓香】を産み死んでいたからである。
父は妻を亡くした時の悲しみを思い出し、泣いてしまった。
その事情を知っている同僚もこうなる事を予測したかのように救急車に乗っていた。
同僚は父の肩を叩き言う。
《【楓香】ちゃんはまだ生きている‼》
《父親のお前が最後まで信じなくてどうする‼》
同僚の一言で我にかえる父。
【楓香】の頭を撫でながら、
《頑張れ‼》
《頑張れ‼【楓香】‼》
と話しかけ続けた。
救急車に乗り込んでから20分後、ようやく病院に到着。
【楓香】はすぐさま手術室に運ばれた…
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