236人が本棚に入れています
本棚に追加
その医者は外科医ではなく、眼科医だった。
【楓香】の父は考えた。
《なぜ眼科医が話にくるんだ?》
その答えはすぐにわかった。
眼科医が言う。
《【楓香】ちゃんは右目付近を蹴られようで、眼球にかなりの衝撃があったようです。》
眼科医は続ける。
《その衝撃のせいで、失明している可能性があります。》
父は理解できなかった。いや、理解しようとしなかった。
そして、その場に座り込み方針状態になった。
何故【楓香】がこうなってしまったのか。
それは左耳の障害に原因がある。
【楓香】は左耳に障害があり左からの音は聞こえにくい。
【楓香】自身もそれを理解していたので、聞こえにくい時は右側を向けて聞くようにしていたのだ。
蹴られた時【楓香】は母馬から見て後ろに、【楓香】から見て母馬は左にいたのである。
そして、イライラしてる母馬の地面を蹴る音を聞き取る為に、右耳を向けた瞬間蹴られてしまったのである。
父が座り込んでから数時間か経った。
すると…手術室のランプが消えた。
同僚は【楓香】の父に手術が終わった事を伝えた。
父が立つと同時に手術室から【楓香】が出てきた。
父が【楓香】を見ると、【楓香】は首から上が包帯で巻かれ痛々しい姿だった。
しかし、命に別状はない。
父は息をしている【楓香】を見て泣いた。
病室に運ばれる【楓香】。
着替えや手続きの準備をする為、父は一旦病室をあとにした…
最初のコメントを投稿しよう!