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手術から一週間傷の具合も大分落ち着き、【楓香】の包帯は取られた。
しかし、【楓香】は言う。
《まだ包帯付いてるよ?》
父は首を傾げて言う。
《何言ってるんだ?》
《もう包帯は全部取れてるよ。》
【楓香】は父の顔が凍り付く一言を言う。
《え?まだ付いてるよ。》
《だって【楓香】右側見えないもん。》
【楓香】は失明していた。
父はすぐさま医者を呼び検査してもらった。
医者は首を横に振り、一言、
《残念ですが…》
父は絶望に浸る。
そして【楓香】にそれを伝えるか伝えないか悩む。
父がしばらく考えて結論をだした。
《【楓香】に伝える‼》
決心した父は【楓香】に全てを話した。
黙って聞く【楓香】。
父が全てを話終えると、【楓香】は笑って答えた。
《大丈夫😃》
《左目…😅》
《ある…から…😢》
【楓香】は泣いた。
父に心配かけまいと必死で笑顔を作ろうとするが、涙が止まらない。
父は、けなげに歯をくしいばり、涙をこらえようとする【楓香】を抱きしめ言った。
《無理しなくていいから。》
《父さんがついてるから》
【楓香】はその言葉で一時は泣き止んだ。
しかし父が離れ一人になると【楓香】は泣き続けた。
それ以降【楓香】は笑わなくなってしまった。
ある馬と出会うまでは…
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