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『彼』に関するいくつかの誕生の二つ目が、この『彼等』である。
『彼等』も『彼』の最大最強のライバルの一角になる
『彼等』も『彼』や『この子』と同じように、産まれる時天命とも思える奇跡がおきていた。
『彼等』はやはり、『彼』や『この子』と違う。
呼び名からもわかるように【双子】である。
さらに『彼等』には母親がいない。
『彼等』の母親は高齢で双子を産むだけの体力がなかった。
それに気付いていた厩務員は、一頭だけを産ませて、もう一頭は可哀相だが死産させようとした。
しかし、『彼等』の母親は厩務員のただならぬ気配を察知したのか、身体を触らせる事を断固として拒否し、自分の命と引き換えにもう一頭を産んで生かした。
厩務員は絶句した。
母親馬は厩務員にとって大変思い入れのある馬で、絶対この馬を助ける気持ちで出産に立ち会っていたからである。
厩務員はしばらく呆然としていたが、自分が愛情持って世話した馬の形見と思い、『彼等』の母親代わりになることを決心した。
厩務員が『彼等』を立たせようと近づいたその瞬間、空に涙のように二筋の流星が流れた。
そして、空に流星が流れた瞬間、『彼等』は二頭同時に立ち上がって空の流星に向かって泣いて鳴いた。
『彼等』は母親が死んでしまったこと理解したかのように、涙を流しながら、泣き続けた。
そして何かを悟ったように厩務員に近づき、母を呼ぶような大きな声で一度だけ鳴いた…
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