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言葉…。
僕はどちらかといえば言葉足らずの人間かもしれない。
伝えたい事が言葉に出来なくて、何度も君を傷つけてしまった。
そのたびにまた、僕も心に傷を負っていった。
些細な事で何度も喧嘩したよね。
君の気持ちが分かるから…僕の気持ちが伝わらない事に何度も悩んだ。
ふたりの距離は、近づきつつも、心の何処かで離れつつもあった。
東京の冬は冷たい。
心が空っぽだったなら、僕はその寂しさを何にぶつければいいのか。
行き当たりのない言葉の《壁》はいつの間にか、ふたりの前に立ちふさがっていた。
『どうして分かってくれないの…。』
心のぼやきが聞こえそうで、すぐに飲み込んだ。
目に見えない敵と戦っても、答えは出ない。
ならば、恐れる事はないはずだ。
僕は、彼女に《本当の自分の姿》を見せる事を決めた。
全てをさらけ出すのは簡単な事じゃない。
けれど、このまま終わりたくない。
素直になれない自分がそこにいた…。
君は、僕の為に泣いてくれたよね…
そのひと粒の涙が、僕の心を締め付けて離さない…
だから、もう泣かないで…
大切な君の為に…
僕達は、それぞれ互いの《道》を考え始めていた。
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