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帰り。
空は灰色の絵の具で塗り潰したようにどんよりとしていた。
雨はまだパラパラと降っていて、少し肌寒かった。
傘を広げてる結衣の隣で、私は黙って降ってる雨を眺めていた。
「気を付けて帰れよ」
稜が後ろから私を抱き締めながら、頭の上に顎を乗せて言った。
「うん、ありがと」
「じゃあまたねー!!」
ばいばい、と手を振って。
その日も結衣の傘に入れてもらいながら家路についた。
今度は叶多クンに会えるといいな...。
そんな想いだけを残して。
それから約2週間後。
🎵~🎵~🎵~🎵~🎵~🎵~🎵
“着信中 💠結衣💠”
夜12時過ぎ。
結衣からの着信。
🎵~🎵~🎵~...ピッ
「はぁい」
こんな時間に何かあったのかと思って出てみると。
“...もしもし?”
結衣の声は明らかにいつもと違く、様子がおかしかった。
...何かあったみたいだね...。
携帯電話をギュッと握り締めた。
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