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「お疲れぇ。...どしたの?」
“お疲れ。凛音...あのさ...”
結衣が言葉を濁した。
何か、嫌な予感がした。
「ん?」
なるべく平静を装い、先を促す。
“景が...”
ドクンッ
心臓がやたら早く波打つ。
「景が...どうしたの?」
“.....................”
「...結衣?」
“景がね...。「Pluie」辞めるって...”
「...えっ!?ちょ、ちょっと待って、どうゆうコト!?」
電話越しに聞こえてきた言葉を理解するのに時間がかかった。
“何かね...今景と電話してたんだけどさ...”
結衣は軽く溜め息を吐きながら説明してくれた。
“何かさ...。景、盗みの濡れ衣着せられたんだってよ...”
思い掛けない言葉。
もう私の頭の中は真っ白になっていた。
「...え...?ぬ、盗み...?な、何...何で?」
“...この前うちらが行った時あるじゃん?あのちょっと前に、「Pluie」の酒蔵で盗難事件があったんだって...”
「酒蔵で?...ってコトは盗まれたのは...」
“そう、お酒”
不謹慎ながら、少し気が抜けた。
お金とかの金品類だと思っていたから。
「お酒...かぁ...」
でも、盗難があったコトに変わりはない。
“でさ、その盗難があったってわかった時...景と十夜クンってコが酒蔵に2人でいたんだって...。”
「2人いたの!?じゃあ何で景だけ...!!」
思わず早口でまくし立てている自分がいた。
そんな私とは反対に、結衣は異様な程落ち着いていた。
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